どの種類の遺言書にするべきか?その種類とメリット・デメリット

1、自筆証書遺言

すべてひとりで作成する。(証人等が必要ない)

メリット

  1. いつでもどこでも簡単に作れる。
  2. 費用がほとんどかからない。
  3. 遺言の内容・存在を誰にも知られないことができる。

デメリット

  1. 相続人等に発見され遺言内容を読まれ、当人に不利な場合に、破棄されたり書き換えられたりする恐れがある。(ただしその行為は、過料の対象となるばかりでなく、相続人の欠格要件にも該当します)
  2. 前記の場合を恐れて、見つかりにくいところに仕舞い込むと、死後においても永遠に発見されないこともある。
  3. 家庭裁判所の検認手続き(要件を満たしていることの確認)が必要
  4. 下記要件1・2を満たしていないと遺言書全体が無効となり、要件3を満たしていなければ、訂正がなかったものとみなされます。
    • 要件1 内容・作成年月日・署名すべてが自筆であること。(ワープロ・代筆不可)
    • 要件2 押印(認印可)があること。はっきりとしたものであれば拇印でも可だが確実性を期すため押印のほうがよい。
    • 要件3 訂正をする場合は、訂正箇所の誤字が残るよう二重線を引き訂正をした後、押印をすると伴に、変更した部分の上部欄外もしくは遺言書の末尾に変更した行目と加入・削除数を記すこと。

遺言書の要件が欠けているケースも多く、保管の安全性も低いので、自筆証書遺言作成後は一度専門家に遺言書の要件確認をしてもらうことと、銀行の貸金庫などの利用も検討すべきでしよう。

2、公正証書遺言

証人2人の立会いのもとに、公証人に対し遺言の趣旨を口述し(筆談可)公証人が遺言を作成した後4人全員が署名押印する。原本は公証人役場に20年間または遺言者が100歳に達するまでのどちらか長い年数保管される。

証人2人は下記の者はなれません。

  1. 未成年者
  2. 相続・遺贈を受けるものおよびその配偶者や親および子
  3. 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記および雇人

メリット

  1. 要件の不備で遺言の効力が無効になることがまずない。
  2. 公証人役場に保管されているので、証人以外の他人に内容を知られることはない。
  3. 公証人役場に保管されているので、破棄されたり書き換えられたりという恐れがない。
  4. 公証人役場に保管されているので、死後発見されないという心配はない。
  5. 家庭裁判所の検認の手続きが不要。
  6. 死期が迫り、自筆で遺言書を書く体力がないときでも、公証人に出張してきてもらい、証人2人立会いの下で公証人に口述することで、遺言を残せる。
  7. 遺言者が他人の強制や誘導によって遺言書を書かされるのが防げる。

デメリット

  1. 遺言の存在と内容を公証人と証人2人には知られてしまう。
  2. 費用が数万円かかる。(人数・相続財産金額により変動)

人生の締めくくり、生前の意思の最終決定という遺言書の重要性を考慮したとき、多少の コストがかかってもその安全性・確実性・遺言執行の迅速性から考えてこの公正証書遺言 をお勧めいたします。

3、秘密証書遺言

遺言書が書けたら署名押印をして、遺言者自ら封筒に入れ、その封筒に遺言書に用いたものと同じ印鑑で封印した後、証人2人と公証人役場に行き、遺言書を提出して遺言者が自分であることを申述します。
(遺言書の内容は口述する必要がない)
公証人がこの遺言書に日付と申述内容を記載し、全員が署名押印すれば成立します。

メリット

  1. 遺言書の内容を遺言者以外はわからない。(公証人・証人もわからない)
  2. 遺言内容はワープロ・代筆でも有効。署名押印は必要。
  3. 日付を入れる必要がない。

 

デメリット

  1. 公証人が遺言書の内容は見ないので、署名押印漏れ等による遺言の無効の危険がある。
  2. 費用が数万円かかる。
  3. 家庭裁判所の検認が必要。
  4. 公証人役場に保管されることはなく、保管は自分でしなければならない。

手間とコストのわりにその安全性は自筆証書遺言とあまり変わらず、家庭裁判所の検認も必要なので、現在はほとんど使われていない。