普通帰化の要件

帰化申請が認められるためには、下記の要件をすべて満たしている必要があります。

引き続き5年以上日本に住所を有すること

ここでいう「引き続き5年」とは、ずっと継続して日本に住むという意味です。 例えば、5年間の間で、中断があるような場合は住所要件を満たすことにはなりません。 また、たとえ5年間ずっと日本に住んでいた場合でも、不法に入国していた場合や正当な在留資格をもっていなかった場合も住所要件を欠くことになります。ただし以下の場合にこの条件が免除になることがあります。

●日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの
●日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く)が日本で生まれたもの(で現に日本に住所を有するもの)
●引き続き10年以上日本に居所を有する者(で現に日本に住所を有するもの)
●日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの
●日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するもの
●日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
●日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であったもの
●日本の国籍を失った者(日本に帰化した後、日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有するもの
●日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者で、その時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの
●日本に特別の功労のある外国人

20歳以上で本国法によって能力を有すること

日本では20歳以上が成人とされていますが、何歳で成人と判断するかは国によって異なります。例えば帰化を申請したいと思っている21歳のA国の人(A国は22歳をもって成人とします)がいるとします。日本においては21歳は成人ですが、A国の決まりにのっとり、その人が22歳にならないと日本において帰化申請を行うことはできません。ただし以下の場合にこの条件が免除になることがあります。

●日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの
●日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するもの
●日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
●日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であったもの
●日本の国籍を失った者(日本に帰化した後、日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有するもの
●日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者で、その時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの

素行が善良であること

素行が善良であるとは、ひと言でいうと社会一般の人の基準で考えて、まじめな人であることを意味します。具体的には次のようなことがらで判断します。

きちんと税金を納めているか
前科がないか
交通事故を起こしたことがないか
交通違反をしたことがないか
社会に迷惑をかけるような行為をしていないか

但し、犯罪や事故から年数が経っている場合は、マイナス要因にならないケースもあります。

申請者自身または配偶者その他の親族の資産等によって生計を営むことができること

自分自身がお金を稼いでいなくても、同居している家族が扶養してくれている場合は、生計要件を満たすこととなります。「生計を営むことができる」とは、もちろん裕福であればあるほど望ましいのですが、 そうでなくても普通に生活ができている状態であれば特に問題ないでしょう。ただし以下の場合にこの条件が免除になることがあります。

●日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
●日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であったもの
●日本の国籍を失った者(日本に帰化した後、日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有するもの
●日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者で、その時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの

国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと

日本においては、重国籍(例えば、日本国籍とアメリカ国籍の両方をもつこと)は認められていません。そのため、帰化を申請し、日本国籍を取得したいと考えている者は、日本の国籍を取得したときには元の国籍を喪失または離脱することができることが必要です。ただし、国籍法5条2項にこのような規定があります。

法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が国籍法5条1項5号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

日本国憲法や日本政府を破壊させるような思想をもっていないこと、 また破壊させることなどを企てる政党や団体を結成したり、そのような団体に加入していないこと

つまり、日本にとって危険人物となるような恐れがある人には、帰化を認めないということです。

日本語の読み書きができること

これは法律に定められているわけではないですが、「小学校3年生程度の読み書き」が一応の基準となっているようです。 これは、帰化すると選挙権が与えられるなど、日本人と同じ権利(義務)が得られますので、日本人と同様のことがある程度できないといけないからです。