特別方式の遺言

特別方式の遺言

普通遺言ができない特別な状況にある場合は特別の方式による遺言をすることができます。 特別方式の遺言には、一般危急時遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言、船舶遭難者遺言の4つがあります。

一般危急時遺言

一般危急時遺言は、疾病その他の事由により、死亡の危急に迫った人がする遺言です。 一般危急時遺言の要件は以下のとおりです。

1. 証人1人以上の立会いがあり、そのうちの1人に遺言の趣旨を口授する。
2. 口授を受けたものがこれを筆記して、遺言者および他の証人に読み聞かせ、または、閲覧させる。
3. 各証人がその筆記の正確なことを承認した後署名捺印する。
4. 遺言の日から20日以内に証人の1人または利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得ること。

一般危急時遺言に遺言者本人の署名押印は必要ありません。 家庭裁判所は、遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、確認することができません。

伝染病隔離者遺言

伝染病隔離者遺言は、伝染病のために行政処分によって交通を絶たれた場所にいる者がする遺言です。 伝染病隔離者遺言の要件は以下のとおりです。

1. 遺言者が伝染病のために行政処分によって交通を絶たれた場所にいること。
2. 警察官1人および証人1人以上の立会いをもって遺言すること。
3. 遺言者、筆者、立会人および承認が各自遺言書に署名捺印してあること。署名または捺印ができない人がいるときは、立会人または証人はその事由を付記しなければなりません。

在船者遺言

在船者の遺言の要件は以下のとおりです。

1. 船舶中にいる人。
2. 船長または事務員1人および証人2人以上の立会いがあること。
3. 遺言者、筆者、立会人および承認が各自遺言書に署名捺印してあること。署名または捺印ができない人がいるときは、立会人または証人はその事由を付記しなければなりません。

船舶遭難者遺言

船舶遭難者遺言とは、船舶が遭難した場合に、船舶中に死亡の危急に迫った人が一定の要件のもとで口頭によりする遺言です。 在船者の遺言の要件は以下のとおりです。

1. 船舶が遭難した場合。
2. 船舶中で死亡の危急に迫った人。
3. 証人二人以上の立会いをもって口頭でする。
4.証人が遺言の趣旨を筆記して署名捺印すること。署名または捺印ができない人がいるときは、立会人または証人はその事由を付記しなければなりません。
5. 証人の1人または利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求して確認を得ること。

特別方式による遺言の効力

特別方式による遺言は、遺言者が普通方式(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)によって遺言をすることができるようになったときから6ヶ月間生存するときはその効力を失います。